2012年10月22日付け 神奈川新聞 第1面トップ

老舗アマ 放つ存在感

横浜交響楽団 28日、80周年

 横浜市を拠点に活動している県内最古のアマチュアオーケストラ「横浜交響楽団」がことし12月、
創立80周年を迎える。
 戦火が激しさを増した2年間を除き、毎年途切れることなく演奏会を開催。
合唱団を併設していることも合わせ、全国の老舗アマチュア楽団の中でも特異な存在感を放つ。
これまでに開いた定期演奏会は642回に上り、アマチュア楽団としては世界的にもまれな存在だ。
記念公演会は28日、横浜で開く。
(柏尾 安希子)
同楽団はオーケストラに140人、合唱団に170人が所属する。
仕事を持つ団員が多く、練習は毎週火曜、金曜の夜間に行う。
 創立は1932年。
指揮者の故小船幸次郎氏が「横浜交響管弦楽団」として創設した。
当初の団員は、プロとアマによる約60人だった。その後はプロが抜け、36
年からアマチュアのみによる演奏活動が始まった。
戦時中はしばらく慰間演奏会を続け、戦後の46年から演奏活動を再開。
50年には、ベートーベン「交響曲第9番」(合唱付き)の演奏会を初開催し、
以後63回、毎年続けた。
活動の大きな柱は、子どもたちに向けた演奏活動だ。
横浜市内の小中学校を巡回するほか、同市と協力しながら
「青少年のための音楽会」を年に10回前後、開いている。
80年から常任指揮者を務めている甲賀一宏さん( 75)は「同じぐらいの
歴史を持つアマチュア楽団はほかにもあるが、演奏会を途絶えることなく続けて
いるのはここだけ。貴重な存在だ。
仕事を持ちながら努力して活動を続けてきた」と話す。
現在、楽団が置かれている状況は、きわめて厳しい。
長年練習場や楽器庫として使ってきた施設が老朽化し、立ち退かなければならなくなったのだ。
練習場のめどは付いたが、楽器庫については莫大な費用がかかりかねず、解決のために奔走している。
理事長の小磯智功さん( 76)は「子どもたちに向けた演奏といった、大事な活動をしている自負がある。
工夫をして、なんとしても活動を続けたい」と話している。
記念演奏会は横浜市西区の県立音楽堂で午後2時開演。
「ミサ曲第6番変ホ長調」(シューベルト)のほか、
第1回公演で演奏した「交響曲第94番卜長調「驚愕」(ハイドン)
を演奏する。全席自由千円。
問い合わせは横浜交響楽団(電話)045 (824)3176。

写真1)記念演奏会に向けて練習する横浜交響楽団のメンバー
写真2)横浜交響楽団第1回定期演奏会=1933年7月1日、開港記念横浜開館(現在の市開港記念会館)