第661回定期演奏会 曲目雑感

3月15日(日)午後2時~  神奈川県立音楽堂
今回は非常に良く知られた名曲2曲です。

ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調
ドヴォルザークの代表曲の一つ。チェロ協奏曲のみならず他の協奏曲を含めての名曲中の名曲と言ってよいでしょう。ブラームスがこの曲の初演を聞いて、「こんなチェロ協奏曲が書けるのを知っていたら私が書いたものを」と言って賞賛したほどです。
 第 一楽章のチェロによる第二主題は私が最も好きな部分です。このテーマは故郷に思いをはせるように美しく始まり、後半ではチェロが咽び泣くように歌います。 私がある日夜遅く残業が終わって自宅近くの駅の階段を登っていると、誰かがこのテーマを口笛で吹いていました。「ああこの人もこのテーマが好きなんだな」 と思いながら一日の終りにほのぼのとした気持ちで家路につきました。

チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調
チャ イコフスキーの交響曲は4番、5番、6番「悲愴」が特に有名です。4番ほど脳天気でもなく、6番ほど憂鬱でもない。美しい旋律有り力強くも有り、チャイコ フスキーの傑作と言ってよいでしょう。とにかくオーケストレーションがうまく各々の楽器が良く鳴りそしてオーケストラが良く鳴ります。
 ところで「オーケストラの少女」という映画をご存知でしょうか。ストコフスキー、フィラデルフィア管弦楽団が出演した1937年のモノクロの名画ですが、 たくさんの名曲が出てきます。この曲を聴くとこの映画を思い出すという名曲はたくさんあるのですが、この第5番もその一つです。第四楽章最後に Prestoになり第518小節から始まるテーマを聞くとこの映画のトーキーになりたての古臭い音を思い出し、オーバーアクションのティンパニを思い出します。
 私の両親は音楽の素養などたいして無い人達でしたが、音楽を始めるきっかけを作ってくれました。その母が「昔オーケストラの少女という映画が有ってね。と ても良かったわよ。それから音楽が好きなったわ」と話してくれました。それが今横響に在籍する自分がある一つも理由なのもしれません。
私を音楽の世界に導いてくれた亡き母に感謝。

(M.T)